折りたたみイスをアイアン風にリメイク

優先順位が低くて何年もやらずに放置していたイスのリメイク。家にあるジェネリック(偽物)のイームズシェルチェアがぶっ壊れてしまったので急遽、応急利用のために端材と手持ちの材料でとっかかりました。

壊れたシェルチェア(偽物)と元の折りたたみイス

破損したジェネリック(偽物)のイームズシェルチェア
破損したジェネリックのイームズシェルチェア。再び偽物は買いたくないなぁと思いまながらも、おいそれとハーマンミラー(本物)のグラスファイバーなんてすぐ買えないので、しばらくはリメイクイスで凌ぐことにしますた。

本物のシェルチェアはこちらから

リメイクの元にしたイスは、15年近く前にホームセンターで買った何の変哲もない冴えない折りたたみイス。取り急ぎ親戚が来た時用かなんかにまとめて何脚か買ったもので、普段はぜんぜん使わずキレイなままで捨てられずにいたものです。

ホームセンターで買った折りたたみイス

リメイクは、家にあったパイン材の端材とプリンタ台に使ったターナーのアイアンペイントを使って、自作のテーブルに合わせた見た目にすることにしました。

背もたれと座面の準備

折りたたみイスを分解

折りたたみイスを分解。ネジは再利用するので無くならないように取っておきます。板の使いみちはないですが貧乏性なのでとりあえずこちらも置いときます。

パイン材の端材で作った背板と座面

家にあったSPFパイン材の端材。
座面はワンバイ材、1x12(厚さ19mm x 幅280mm)を長さ30cmくらいに切断。
背板も同じくワンバイ材、1x6(厚さ19mm x 幅140mm)を同じくらいの長さに。
元のイスより少し大きめにして少しだけ座り心地をよくしようと思います。フレームが小さいため、あんまり大きすぎるとしなったり不安定になるのでこのくらいが限度でした。カットしたらネジを打つ箇所をとって下穴を開けておきます。

イスの座面を面取り

角があたると痛いので面取り。

太ももの裏があたる部分をさらに加工

座面の前の部分、太ももの裏があたるところは余計に痛いので、後でもっと角を丸くしました。

ワトコオイルのドリフトウッドでリメイク

仕上げは自作のテーブルに合わせて、家に余っているワトコオイルのドリフトウッド。お尻にオイルが付くと嫌なので、塗装・拭き取りの手順のあとしっかりと乾燥させておきます。

金属部分の塗装

フレームをアイアンっぽく塗装します。スチール製で現状はシルバーに塗装されています。
まずは下地処理。折りたたみイスのフレームは可動部分があって、グリス、潤滑油が塗られているのでこれを取り除いたあと、足付け(ヤスリがけ)します。

イス脚キャップを取り外し。

最初に、接地面にあるゴムのキャップを外します。再利用しないのでカッターで切って捨ててしまいます。

可動部分のグリス・潤滑油を脱脂

可動部分のグリス・潤滑油を脱脂。粗くで良いので灯油やラッカーシンナーで拭いていきます。本当は揮発するガソリンなどが作業しやすいですが、いずれにしても火気厳禁で。周りに水をまくなど危険のないように注意しましょう。

食器用洗剤を混ぜた水で洗浄

脱脂できたら、水と洗剤で全体を洗浄します。僕の場合は、カッティングシートやカーフィルムの施工液の代用として使っている、霧吹きの水に少量(スプーン一杯程度)の食器用洗剤を加えたものを使っています。

可動部分にそのまま塗装して大丈夫なのかとか、バラしたほうがいいのではないか、と思われるかもしれませんが結構大丈夫です。例えば、車の修理で、手が入りにくく油脂がついているエンジンルームを塗装する、なんて場合には、プロの現場でも洗浄とマスキング、シーラー(塗装の密着を良くする下地材)で対応することがあります。塗装のためにどんな場合でも全部バラす、というわけではありません。

可動部分はワイヤーブラシで洗浄

可動部分はワイヤーブラシでゴシゴシ。今回、水に溶ける水性塗料を使うので比較的リスクは少ないですが、特にパイプの内側に入った水分は抜けにくくサビの原因にもなるので、できるだけ内側を濡らさないようにします。

400番〜600番程度のサンドペーパーでヤスリがけ

そのまま足付け。足付けとは、ヤスリがけして塗料の食いつきをよくさせる下地処理です。接着剤や塗料はツルツルよりはザラザラのほうがしっかりと張り付く、という理屈です。だいたい400番〜600番程度のサンドペーパーがちょうどよく、塗装前の下地処理としては一般的です。

400番〜600番程度のサンドペーパーでヤスリがけ

こんな感じにしておきます。気になるならもっとヤスってもいいですよ。
終わったら洗剤成分を水で流して拭き取り乾燥させます。エアーコンプレッサーがあればガンで水分を飛ばしておくと良いでしょう。

ターナーのアイアンペイント ブラック

塗装には、自作プリンタ台にも使ったターナーのアイアンペイントを使用。家にあった水彩用の平筆を使って筆塗りします。筆は100円ショップでも何でもいいと思います。

ターナーのアイアンペイントで塗装

折りたたんだ状態で見えるところを塗り、乾いたらイスを立てて見えるところを、てな具合で、可動域を先に塗っていきます。このアイアンペイントは、エアーブラシやスプレーで塗装するのと違って平滑な塗面ではないので、原液のまま筆で塗っても簡単にいい感じにすることができます。水性で乾燥時間も早いので扱いやすいですが、塗装に時間がかかるようなら途中で筆や瓶の中が乾かないように少し水を足して希釈しておくといいです。

可動部分を塗ったところ

可動部分を塗ったところ。入り組んだ形なので360度、畳んだり広げたりして塗り残しをチェックします。
触れるようになるまでの乾燥は早いですが、硬化には時間がかかるので板を取り付ける前に1日程度しっかり乾燥させます。

自作の背板を取り付け

乾燥したら、取っておいたネジで自作の板材を取り付けます。
ターナーのアイアンペイントは完全に乾くと結構しっかりしてます。ちょっとぶつけたくらいですぐ剥げてしまうわけでは無いですが、こういう場合はインパクトドライバーを使わずに慎重に作業します。

自作の座面を取り付け。

座面も同じく慎重にネジ止め。

イス脚キャップ 19mm

新品のイスキャップ。脚の直径にあったものを選びましょう。

脚のキャップを取り付けて完成。

キャップを取り付けたら完成。

リメイク前のイスと比較

完成。リメイク前のイスと比較。ちゃんと折りたたみもできました。

折りたたみイスをアイアン風にリメイク

座ってみて、最初の折りたたみイスと比べたら明らかに座りやすくなりました。見た目変わると少し愛着も出てきます。座面が四角いと少し太ももの裏に当たる部分が気になりますが、背もたれも大きくなって安定感が増しました。普通のイスに比べたらぜんぜんですけど。

唯一の出費はゴムの脚キャップだけで工数もそれほどでもなかったのでまぁ満足です。みなさんもうちで腐ってる折りたたみイスあればどうでしょう。